こりあらーむ

カテゴリー

昌徳宮「闕内各司(クォルネカクサ)特別観覧プログラム」

カテゴリー

王の補佐官の業務空間「闕内各司(クォルネカクサ)」探訪

昌徳宮で11月いっぱい毎週金・土・日の午後2時より、「闕内各司(クォルネカクサ)特別観覧プログラム」が行われています。闕内各司(クォルネカクサ)特別観覧プログラムは今年で2回目とのこと。

 

このプログラムは、昌徳宮の西側にある「官庁」の空間を解説付きで探訪するというもの。
プログラムを通して、弘文館、芸文館、奎章閣といった機関が、朝鮮時代にどのような役割を果たしたか、また、ここで働いていた高官たちが普段どんな仕事をしていたか、また、各機関と歴代の王との関係について、ガイドを通して学び、理解を深める事が出来ます。
 
「闕内各司(クォルネカクサ)」とは?
「闕内各司(クォルネカクサ)」は、朝鮮時代の役人たちが働いた宮内の官庁を指した言葉。
ほとんどの官庁は、宮廷の外にありましたが、王のすぐ側で補佐する部署については、特別に宮廷内に官庁を建てました。
闕内各司は、昌徳宮の正殿である「仁政殿」の東、西、南にありましたが、現在はそのほとんどが残っておらず、今観覧可能な建物は、2004年12月に復元されたものになります。
プログラムでは、西の官庁空間にある「弘文館」、「芸文館」、「奎章閣」と言った機関を中心に見て周ります。

昌徳宮で務めた役人の日常

役人たちは昌徳宮の正門である「敦化門」からではなく、西側の「金虎門」から出入りしたそうです。
敦化門は最高権威の象徴であるため、役人は通ることを禁止されていました。
また、当時の役人は朝5時~7時の間に出勤し、夕方の5時~7時の間に退社したと言います。夏と冬で日の長さによって出退勤時間が調整されていました。遅刻は欠勤よりも罪深く、棍杖で50回叩かれる罰を与えられたそうです。また、禁川を超えると業務区域の離脱とされ、罰せられたと言います。
 

奎章閣

「奎章閣」は、正祖が即位した1776年に歴代の王の詩文と文書を保管する場所として後苑に建立されました。後に場所を移し、昌徳宮の西端の建物が「奎章閣」として機能しました。

 

奎章閣と正祖
正祖は「奎章閣」に思い入れがあり、「奎章閣」で業務する官吏を呼び、後苑で会食を開いたりもしたそうです。また、先代王の祭祀の際には、「奎章閣」に一日身を置き、清めの時間を過ごしたともいわれています。正祖の時代には「奎章閣」が単なる文書保管所では終わらず、王立図書館、出版所として機能を拡大しましたが、正祖の没後には力を失ってしまったと言います。
 
検書廳
「奎章閣」付属の建物で、本の校正を行う役人の執務空間として設けられました。建物周囲の景観が良く、目下には昌徳宮内を流れる禁川も見下ろせて、風流な勤務環境で業務を行っていました。
 

冊庫

3万冊を超える書籍が格納されていた書庫。紅葉シーズンの今は、大きな銀杏の落ち葉が一帯を敷き詰め、美しい光景を眺めることが出来ます。

 

奉謨堂
奉謨堂は、奎章閣の付属建物で歴代の王たちの遺品を保管するところ。

璿源殿

璿源殿は宮廷の中に歴代の先王の肖像画を奉安し、生誕日に祭祀を行っていた場所。

昌徳宮には璿源殿が2つあり、もう一つの璿源殿は後苑に造られ、こちらを新璿源殿と呼びます。1921年に徳寿宮に新璿源殿が移され、肖像画が奉安されましたが、その後、高宗の時代に、新しい住処である慶運宮の璿源殿に肖像画を移した後、火災によってほとんどが焼失してしまいました。

現在、昌徳宮にある旧璿源殿は、建物のほとんどの部分が高宗の時代のまま残っています。

芸文館

王の言葉や文章、命令文、官職の任命状などを作成、保管していた場所。役人の中には「宮廷日誌」「王室日誌」や会議内容を書記する役割があり、ここで記録された実録書によって歴史を読み解くことが出来ます。

薬房(内医院)

宮中の医薬を担当し、王の健康を管理した機関。漢江の奥深くから水を汲みだして、薬に使用したと言います。冬は水が汲めないため、牛乳を使用した駝酪粥を食したと言います。

玉堂(弘文館)

玉堂は、儒教の経典を管理し、文章を処理し、王の諮問に応対した機関。ここで働く官吏は、役人の中でも最も学識高い人ではないと勤められない役割でした。王がいつでも諮問できるように24時間交代勤務をし、もし急な用事があっても、代わりのものがいなければ禁川を超えられなかった(退勤できなかった)と言われます。その代わり、読書休暇を取る事が出来るなど、特別待遇が許されていたと言います。

韓国の史劇ドラマが好きな人は「闕内各司」にも注目しよう!

一般的には、王の住居空間や執務空間が注目されがちですが、「闕内各司」の役割と当時の宮廷社会について学ぶと、今までは単なる建物の一部に過ぎなかった場所にも、生き生きと歴史を感じられるようになります。次回昌徳宮に行かれる方は是非、西側の官庁にも足を運んでみてください。迷路のように入り込んだ建物の中で、現代人と同じように業務を執り行っていた官吏たちの姿が目に浮かんできますよ。

しばらくお待ちください


TOP