庶民の味、アツアツのフィッシュ&チップス
イギリスを代表する食べ物と言えば、フィッシュ・アンド・チップスです。これは、揚げた白身魚(タラが一般的です。)とチップス(フライドポテト)を組み合わせた庶民的な料理です。パブやレストランのメニューにもありますが、テイクアウェー(米語ではテイクアウト)メニューの定番です。街中にあるChippy(チッピー:フィッシュ&チップスを扱うお店の愛称で Chipper〈チッパー〉、Chipshop 〈チップショップ〉とも言います。)で仕入れたアツアツのチップスを待ちきれずに歩き食いするのもおいしい食べ方の一つです。モルトビネガーをかけて食べるのがイギリス流です。
魚やイモを揚げて食べる習慣はヨーロッパ全域に広がっていますが、この二つの組合せを最初に導入したのは、1860年にジョセフ・マリンがロンドンで開店したフィッシュ・アンド・チップスのお店であるといわれています。19世紀後半に北海での底引き網漁が著しく発達したことから、安価でおいしいフィッシュ・アンド・チップスは労働者階級の人々の間に急速に広がってゆきました。
チッピーに一歩足を踏み入れると、庶民的でアットホームな空間が広がっています。気さくなお母さん、労働者風の中年のおじさん、トラックスーツ(トレーナー上下)を着たガテン系のお兄さんたち。そこに飛び交うのは勿論、コックニー(ロンドンの労働者階級の人々の間で話される英語)です。彼らは見た目が少し怖いせいでとっつきにくいのですが、人懐っこくて気さくな人が多いので、チップスをほうばりながら彼らと世間話をするのも楽しみの一つです。
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